森林保育
皆伐をおこなうとそれまで地表を覆い保護していた立木がいちどに失われるため、森林の持つ公益的機能(水源涵養機能、土砂災害防止機能など)が大きく損なわれます。そのため皆伐跡地では早急な森林の回復が求められます。
マルカ林業では皆伐跡地にスギ・ヒノキを主とした植林をおこない、下刈り・除伐・切捨間伐などの保育作業によって早期の森林再生を図っています。
保育作業は植栽木の成長を促すことだけでなく、価値の高い林木を集中的に育成することが目的です。本当に必要な作業だけを効果的・効率的に実施することが、持続可能な森林経営を行う上でとても重要です。
植栽
早期の森林再生のために、皆伐跡地においては苗木を植栽しなければなりません。弊社では再造林にあたって現場の地形や土壌など生育条件を考慮し、スギ・ヒノキを中心としてヘクタールあたり2500~4000本の苗木の植栽を行っています。植栽直後はシカやウサギによる食害を受けやすいので、被害の見込まれる場所では周囲に防獣ネットを設置しています。
下刈り
伐採跡地では、草本植物を主とした先駆種が芽生え、日差しを受けて急速に成長します。これらの生長は非常に速く、植栽した苗木はほどなく覆い隠され、成長を妨げられます。
そのため植栽して当分の間は下草を刈り払ってやる必要があります。その作業が下刈りです。下刈りは植栽木が十分に生長するまで、5~10年程度行います。真夏の炎天下に日陰のない山の斜面での作業はたいへんな重労働となります。
下刈りは造林において最もコストのかかる作業です。弊社では苗木の生長、下草の伸び具合や地利的条件から、当年に下刈りの必要な箇所を見極めたうえで作業を行っています。
除伐
植栽木が大きくなって樹冠を広げるようになると、林内では草本植物に代わって木本植物が育ち始めます。これらが生長すると生育空間の競合がおこり、植栽木の生育を妨げます。これらを除いてやるための作業が除伐です。
除伐は林木の生育状況によっては必ずしも必要な作業ではありません。保育作業の省力化などを目的に省略することもあります。
切捨間伐
除伐を経て植栽木が生長すると、樹冠が混み合ってきて植栽木同士の生育競争が始まります。この頃になると生長の良いものとそうでないもの、形質の良いものと悪いものとの差がはっきりしてきます。そこで将来性のある優性木の生長のため、妨げとなる木を除いて生育空間と日射を確保してやるための作業が切捨間伐です。
切捨間伐を行うと暗くなった林内に日光が差すようになります。すると林床植生が回復して林地の被覆保護効果が期待できます。そのため切捨間伐は森林の公益的機能を維持するためにも効果的な作業です。